世界と出会う、日本の美術

大阪・関西万博が開催されるのを機に、古今東西の芸術文化の交流から生まれた日本美術の至宝が一堂に会します。

古くから、日本列島では海を介した往来によって異文化がもたらされ、その出会いのなかでさまざまな美術品が創り出されてきました。その作品のひとつひとつが豊かな交流の果実であり、いうなれば、日本という「るつぼ」のなかで多様な文化が溶け合って生まれた奇跡なのです。

本展は、弥生・古墳時代から明治期までの絵画、彫刻、書跡、工芸品など、国宝、重要文化財を含む約200件の文化財を厳選し、日本美術に秘められた異文化交流の軌跡をたどります。

作品紹介

世界が絶賛した日本美術の代表格、北斎の傑作。

富嶽三十六景(ふがくさんじゅうろっけい) 神奈川沖浪裏(かながわおきなみうら)
葛飾北斎画 江戸時代 天保2年(1831)頃 山口県立萩美術館・浦上記念館所蔵 [前期展示/後期は和泉市久保惣記念美術館所蔵品を展示]

江戸時代の「娯楽品」にすぎなかった浮世絵は、海を渡ると芸術として大ブレイク。ことに北斎の版画はゴッホやドビュッシー、クローデルらパリの芸術家に影響を与え、日本美術のアイコンとなりました。北斎の名声は日本に逆輸入され、「ビッグ・ウェーブ」こと「神奈川沖浪裏」は、世界で最も有名な海の絵として日本のパスポート、新千円札に採用されるまでに。異文化交流が生んだ世界の名品です。


マンガで紹介「るつぼのツボ」 葛飾北斎《神奈川沖浪裏》の巻


世界に向けた日本美の顔、「琳派」の祖。

国宝 風神雷神図屏風(ふうじんらいじんずびょうぶ)
俵屋宗達筆 江戸時代 17世紀 京都・建仁寺所蔵 [通期展示]


源流は朝鮮半島。弥生文化の成熟とともに大きくゴージャスに。現存する日本最大、最重量の銅鐸。

重要文化財 突線鈕五式銅鐸(とっせんちゅうごしきどうたく)
滋賀県野洲市小篠原字大岩山出土 弥生時代 1~3世紀 東京国立博物館所蔵 [通期展示]

空海が唐から持ち帰った経典を守れ! 醍醐天皇が作らせた蒔絵の箱。

国宝 宝相華迦陵頻伽蒔絵(ほうそうげかりょうびんがまきえ)𡑮冊子箱(そくさっしばこ) 
平安時代 延喜19年(919) 京都・仁和寺所蔵 [通期展示]


面を裂き観音の姿をあらわした不思議な造形は中国伝来、日本では現存唯一。

重要文化財 宝誌和尚立像(ほうしおしょうりゅうぞう)
平安時代 11世紀 京都・西往寺所蔵 [通期展示]

義満、義政、信長、秀吉と伝わった唐物の至宝"大名物"。夏の陣で粉砕するも、集めた破片を漆で継いで奇跡の再生。家康へ。

唐物茄子茶入(からものなすちゃいれ) 付藻茄子(つくもなす)
中国・南宋~元時代 13~14世紀 東京・静嘉堂文庫美術館所蔵 [前期展示/後期は同館所蔵《唐物茄子茶入 松本茄子(紹鷗茄子)》を展示]


蛇のような剣先から、日本では"雨乞い"に用いられた? インドネシアから舶来の珍品。

クリス
インドネシア 16~17世紀 京都・石清水八幡宮所蔵 [通期展示]